信号ー慶ちゃん

夜、にぎやかな通りで。
デート…といえるのかな。
週刊誌に撮られないように、
こっそりと、わざと、先に前を歩き出した彼。
いつものように、彼と少し離れて歩いてた。

でも、今日は...なぜか、衝動的な行動を取った。

LINEで送った。
「手、繋ぎたい。」

彼気づいてくれた。
俯いて携帯を見て、少し躊躇で間があったが、
通知来てた。

『へー今ちょっと難しっすね』
そして汗ってスタンプを送られた。

まあ、やぱりね、わかってる。まあ、わかってる。


「うん!家に着いたらね!」
大丈夫ってスタンプも付いて送った。

まあ、決まってること!
実は彼の背中を見るだけで幸せなのにね。
ただの甘えたいだけだね。


そして、信号だ。
もう。この信号は本当に遅いもの。
早く家に帰りたい。
しゃべりたい。

待ってる時、目の前に、彼の広い背中がいた。
少し香水の香りが。
急に、彼の手が、ポケットから出して、
後ろに出して指先を、こっそりと私に振れてきた。
こう見てドキッとした私。
信号待ちで周りの人がスマホに夢中で、誰も気づいてないようだ。

こそこそと...指先をその手を触れてみたら…
ぎゅっと。彼が指で、私の指先をぎゅっと握った。
力強い。でも、優しい体温が伝わってきた。
帽子をかぶってる彼が、首を少し傾げて、
目尻にシワができてるように見えてニコして、
私の表情を覗き見てた。

その一瞬、空気がまるで止まっちゃったような。
優しさに包まれましたような、暖かくてしょうがない。

あっというまに、信号が緑になってた。
手が放され、また現実に戻ってきた。

 

そして、目の前に、彼が携帯を出した。

通知が来た。


『恥ずかしい顔可愛すぎ!反則だぞぉ!』
ぷんぷんしているスタンプ付いて。

 

もう。

 

早く、家に帰りたい。

 

早く、抱きしめたい。


また通知来た。

『早く帰ろう。もう我慢できないわ』

 

何かよ。///